──1枚の見積書から始まった、21年の物語。
今から21年前。
まだ若かった一人の青年が、職人社長として働く父の姿を見つめていた。

「なんとか、親父の役に立ちたい」
その想いで、青年が最初に手をつけたのは──
手書きだった見積書を、Excelに打ち直すことだった。
ほんの小さな改善だった。
けれど、親父が「これ、見やすいな」と笑ってくれたその瞬間が、すべての始まりだった。

もっと使いやすく。もっと早く。もっと正確に。
親父が現場から帰ってきて、疲れた手でも操作できるように。
青年は、改善に改善を重ねていった。
それはやがて、親父の仲間にも広がり、
クチコミだけで少しずつ、職人親方たちの間で「使えるソフト」として知られていくようになった。
開発にかけたお金は、21年間で1億円以上。
儲けよりも、「親父に喜んでもらいたい」という一心。
そして何より、「親父と同じように、現場で頑張っている全国の職人社長を助けたい」という祈るような気持ちだった。
今はもう、現役から引退し余生を過ごしている親父。
でも、あの背中が遺してくれたものは、今も生きている。
青年は今、あの想いを引き継ぎ、こう願っている。
「これからは、日本中の職人社長のために、この繁盛親方を届けていきたい」と。

こともできるようになった。
──世界中の職人が、誇りを持って働ける社会をつくる。
それは、大きなビジョンかもしれない。
けれど、その第一歩は確かに、
たった1枚の見積書と、父を想う小さな優しさから始まった。
